2017 – 2022

2017-2022

問題行動専門のドッグトレーナーさん

大阪に来てから3年後の2017年に家を建ててまた引っ越しました。

歩いてすぐ公園や遊歩道があり、車や人の通りを気にせずに散歩ができるようになりました。

ある日、いつも通り散歩に行くために首輪にリードをつけようと、首輪のリングに手を伸ばした時に、突然咬みついてきました。

幸い、そのときはうまく逃げられましたが、たしかにその時はリードをつけようとしたとき、なんとなく嫌な予感がしました。

こちらのそんな気持ちが伝わったからなのか、もともと機嫌が悪かったのか、なぜかその時スイッチが入ったみたいです。

それ以来、怖くてリードがつけられなくなってしまいました。

リードがつけられないということは、散歩に行けないということなので、それは大事でした。

気にしすぎるから悪いんだと思って、いつも通りにさっとリードをつけようと、何度も何度も試しましたが、やっぱりもう怖くなってしまってできませんでした。

しばらくは、家でできるだけ遊んでましたが、やはり散歩に行けないのは限界があり、どうしたらいいかさんざん調べたところ、問題行動専門のドッグトレーナーさんのサイトを見つけました。

その方は、人を咬むなどの問題行動をする犬を預かり、トレーニングして矯正して返すという活動をされている方で、さっそく連絡を取ったら、すぐに来てくれました。

もう夜遅くになっていましたが、いつもの散歩のスタイルや、飼育環境などを見てもらいながら、
とにかく、今は飼い主さんたちも参ってしまっていますので、一度離れてみるのが良いことかもしれません。うちで少し預かってトレーニングしてみますと、その日そのまま連れて帰ってくれました。

その方の言葉の通り、僕たちも咬まれることや、リードがつけられないことで、ずっと思い悩んでいて、ほとほと参ってしまっていましたので、この時は本当に助かったと感謝しました。

これでなんとかなるかもと思いました。

預かってもらうには月に8万円かかりました。

言われた時にびっくりしてしまいましたが、散歩やエサやりなども含めて預かってもらうことを考えたら1日あたりは安いです。

とりあえずは1か月か、そのまたもう1か月でうまくいけば、なんとか支払いできるかなと思い、とにかくお願いするしかなかったので、お願いしました。

しかしながら、そこからRUNが帰ってくるまでは半年かかりました。

たまに様子を伺いながら連絡をとりましたが、「やっぱりこの子は精神障害ですね。なかなか大変ですね」って話をいつも聞いて、問題行動が改善するような気配はあまり感じないまま続いていきました。

なんとか3か月分までは支払いをしましたが、そこで貯金もなくなり、事情を話して引き取りに行きますと言いましたが、「この子はもうちょっとうちで預かっていた方がいい」と言われました。

ですが、もううちもお金がないので、「もうエサ代くらいしかお支払いできません」と話して、4か月目からは1万円だけで預かってもらいました。

たしかに一番最初は、もう困り果ててなんとかしてほしいという思いだけでしたが、RUNが家にいないのが数か月続いていくと、なんだか変な感じで、ポカンとするというか、なんか居心地が悪いというか、やっぱり家族は一緒にいないといけないんだということがわかりました。

そこで、6か月たった時に、引き取りに行きますと電話をして、引き取りに行きました。

ドッグトレーナーさんのところに行くと、ドッグランで歩き回っているRUNが見えました。

こちらに気づいたら、激しく歓迎してくれのを思い描いていましたが、実際に会った時には、非常にあっさりで、ちょっとしっぽを振っただけで、またいろんなところのニオイをかぎにウロウロ歩き回っていました。

でももうとにかく、預けるなんてした自分たちが悪かったと反省して、RUNごめんね、もう帰ろうねと言ってそのまま連れて帰りました。

帰り際にドッグトレーナーさんとも話をして、「この子はもう精神障害で、もう治りようがないですね、うちでももう難しいです。」とあらためて言われました。

そして、この子と家で暮らすにはどうすればいいか、もう一度相談すると、苦肉の策で、せめて咬まれても大けがにならないように、犬歯を抜いてしまうかですかねと教えてくれました。

もう家族はいっしょに暮さなくてはいけないと思っていましたし、これからは、また咬まれながらも、RUNとずっと最後まで暮らす覚悟をしていましたので、そのためにはやむを得ないと思い、トレーナーさんのアドバイス通り、犬歯を抜くことを決めました。

犬歯を切る

いつもの動物病院に行き、相談すると、犬歯を抜くのはとても大変だし、犬のためにも根っこは残した方が良いということで、抜くのではなく、切ることになりました。

全身麻酔を打ち、麻酔が効いてきたら、まずは半年何もケアされずに絡みまくった毛玉を全部チョキチョキ切り落とし、首輪も新しくするのと同時に、その首輪に30cmくらいのチェーンリードを通し、直接首輪を触らなくてもリードをつけられるようにしました。

これによって、リードが安全につけられるようになり、再び散歩に出ることができるようになったのです。

そして、いよいよ犬歯を切ります。

切るというか、サンダーで削り落とすような音がして、上下4本の牙がなくなりました。

これによって、僕たちも最悪咬まれても大丈夫という安心感を得ることができ、ビクビクしていた作業も堂々と、自信を持ってサっとできるようになりました。

この変革は、自分たちが想像していた以上に大きな成果でした。(「犬歯を切断する」でもご紹介しています。)

これからはずっと一緒だよ

この日以来、RUNは笑ってもカッコイイ牙はありませんし、家では常に長い鎖をズルズルひきづってます。

しかしながら、やっと僕たち3人で安全に楽しく生活できる暮らしが戻ってきました。

それからももう何回も咬まれています。

犬歯はなくても、アゴの力がとても強いので、咬まれれば大アザになり、痛いのは痛いのですが、以前のように血みどろで肉まで裂ける大ケガはなくなりました。

僕らも咬まれても決して叱りません。怖かったんだね、ごめんねって謝ります。

そして、僕が今とくに心がけているのは、なるべく笑顔を見せてあげることです。

精神障害は治らないにしても、そうして少しでも安心感を与えてあげることが、RUNもうれしいと思ってくれると思っています。

そのおかげか、RUNも笑ってかわいい顔を見せてくれることが多くなった気もしています。

RUNも11歳になりました。

RUNと暮らす中で、他の犬に比べて気が小さく、とても臆病な面があるんだということはわかってきました。

おそらく元々繊細な性格なのだろうと思っています。

本当は、できるだけ安心して毎日を過ごさせてあげるべきだったのに、その反対の接し方をしていました。

問題行動専門のドッグトレーナーの方にも匙を投げられてしまいました。

それまでは、どうにかこの問題行動がなくなる方法はないかと、ずっと試行錯誤していましたが、このときから、このありのままのRUNといっしょに幸せに暮らしていこう、できるだけストレスをなくしてあげて、楽しく過ごせる毎日を送らせてあげようと、思い直すことができました。

そのために、お互いが安全にストレスなく暮らせる工夫をたくさん考えて実践してきました。

同じように問題行動で困っているワンちゃんとそのご家族にとって、何かヒントになることがあればと思い、このサイトでご紹介させていただいています。

すべてのワンちゃんが、快適で幸せな生活を送れることを願っております。

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