犬歯を切断する

衝撃的な方法で、ビックリされる方もいるかもしれませんが、この方法が最も私たちの安心につながった対策でした。

これにより、たとえ噛まれても大ケガにはならなくなります。

これだけで、それまでは何をするにしてもビクビクしていた接し方から、

「噛むならどうぞ噛んでみなさい」と堂々と接することができるようになりました。

犬歯が無くても、噛まれたら痛いのは痛いです。

しばらくその場で「痛てー・・・。」と言いながら、少し痛みがマシになるまで動けなくなります。

そして、噛まれたところはえげつない青アザになります。

血が出ることもあります。

だけど、肉が見えるほど皮膚が裂けて、しばらく血が止まらないほどの大ケガをすることがなくなりました。

さんざん噛まれてきた私たちには、それだけでももう天と地の差ほどの違いがあり、

青アザくらいで済むならどうぞ噛んでくださいと言えるほど、気持ちに安心感と余裕が生まれたのです。

この方法を教えてくださったのは、RUNが半年間お世話になった問題行動専門のドッグトレーナーさんでした。

RUNが鬼モードになる原因は精神障害であることがわかり、何かをトレーニングするというよりは、治療が必要とのことで、我が家に帰ってくることになったのですが、

このまま家に帰ってきても、噛まれるのが怖くてリードもつけられない状況は変わらないので、どうしたら良いか、焦りながらいろいろ必死に聞きました。

その中で教えてくれたのは、とりあえず噛まれても大丈夫なグローブをつけて接することと、犬歯を抜くということでした。本当に噛んでどうしようもない犬には、最終的にこの方法を取るそうです。

私ももうそれしかないと思い、RUNを連れ帰る途中で動物病院に犬歯を抜く相談をして、できますということだったので、そのまま病院に駆け込みました。

いつも通り、病院の外のフェンスにリードを固定した状態(「病院・トリミングでの対策」で紹介しています)で、まずは麻酔を打ってもらいました。

ものの10分かからないくらいで、おすわりの状態からだんだんとペタンと横たわるようになり、少しズルズル引っ張ってみて、そのまま引きずられるようならもう麻酔が効いた状態ということで、そこから抱きかかえて手術台に運びました。

抱きかかえたのは実に5年ぶりくらいでした。

まずは半年間まったくケアしてもらえてなかったので、おなかやシッポのまわりに毛玉がすごくてガチガチになっていたのを切りながらほぐしてもらいました。

そして、約8年くらい使った首輪を新しいものに交換し、その首輪に短いチョークリードを通してもらいました。(「首輪の対策」で紹介しています)

そして手術です。

一番最初は犬歯を抜くということでお願いしていたのですが、

先生曰く、「抜くのは骨格の根元から抜くことになるので、大手術になるし、犬にも負担が大きいです。虫歯などで抜くこともありますが、健康な歯を抜いてしまうのは大変だしかわいそうです。犬歯を切る方法で済むのであれば、骨格もそのまま残るし、その方がワンちゃんにとっても良いと思います。」と勧められました。

そうですかとそのままその方法でお願いしました。

おそらく、歯を根元から抜くと、アゴの力も弱くなるんだと思います。

とにかく歯の尖った部分が無くなれば良いと思ったので、それ以外の健康への影響はできるだけないようにできて良かったです。

しかしながら、今でも噛まれた時には、アゴの力も少し弱くなった方が良かったかなと思いますけど。

歯を切るには、サンダーみたいに刃が回転する道具で歯を削りながら切断するみたいです。上下の犬歯を合計4つ切断します。

歯医者さんでよく聞くような音よりも、もっとゴリゴリ削るような音でした。

私たちは待合で待ちながら、うわー・・・。としかめっ面をしながらその音を聞いていました。

しばらくして無事に終わり、切断した歯を記念にくれました。

そのあとは、まだ麻酔が効いているので、そのままクレートに入れて自宅に持ち帰り、そのままケージに入れました。

クレートをそのままセットできるハウスなので、車からクレートのままハウスに入れることができて便利でした。

そして、無事に麻酔がきれて、何事もなく元に戻るか心配していましたが、数時間おいてから見に行って、ケージを開けると、普通に出てきて、そのあとごはんも普通に食べました。

そこでようやく私たちも緊張がとけました。

そして、RUNも元気に家に戻ってきてくれて、なによりも、もう噛まれても大丈夫という、うれしさが何重にも重なった日になりました。

それからは、噛まれないことに気をつけながら、また3人で暮らす穏やかな日常が戻ってきました。

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